国際海事機関の航行安全・無線通信・捜索救助小委員会についての情報 (コメントから)

「八代ヨットクラブ設立50周年」への「はくりゅう」さんからのコメントをこちらに再録します(このサイトはコメントの有無がわかりにくく、ヨットの航海機器に関係する内容なので)

少し専門的なので関心がある人は「続きを読む」をクリックすると全文が読めます。

八代YC50周年おめでとうございます。そこで、同時期に国際海事機関で開催された航行安全・無線通信・捜索救助小委員会へ出席してきました。私の担当部分について、何らご参考までお知らせ致します。

内容は、海事関係団体、航海機器メーカー他と共有済みのものです。2024年にSOLAS条約の改正が予定されており、長期スパンで、ヨット界にも何らかの影響があるものと思います。マニアックな文言の羅列で恐縮です。何か、ご質問あればお気軽に大島西港のポンツーンにて又は、3月末の八代市長杯レース前夜祭にて、よろしくお願いします。

総論として、基本的にイリジウムといった複数の認証衛星サービスプロバイダーの出現が海上安全情報(MSI)-捜索救助情報(SAR情報)放送へ与える影響をCOM WGは議論。また、プレナリでLRITの費用軽減策について議論があり、コスパス・サーサットについてSAR WGで報告がありました。

1.GMDSSマスタープラン改正(議題9)
Iridiumといった複数の認証衛星プロバイダーが発現する環境の下、これまで陸上からのMSI送信及びモニタリング、船舶側での受信のあり方にのみ焦点が当たってきたところ。
今後、(SAR機関による)SAR情報の送信・モニタリング手法:A.1051(27)及び、A.706の改正について議論することになった。また、複数の衛星プロバイダー間におけるSAR通信コーディネーションの手法(例えば、Inmarsat Rescue NET(Chat機能あり)とIridium Safety CastのEGC機能を活用したSAR協力依頼や、情報提供の調整)、船舶間遭難中継の調整なども論点となる。
以上に関連し、複数の認証衛星プロバイダー間の通信をつなぐAPI(アプリ)の開発について、各国は議論を推進する。

2.SOLAS条約附属書第IV章の改正案(議題11)
2024年のSOLASからNBDPの文言を削除する。(2021年のNCSR8で審議する)。
今後、MSIとNAVTEXとの関係性、特にNAVTEXとSOLASとの関係性を議論する。同時にMSI受信機とは何かについて議論する(NAVTEX・MSI送信機器についても、アプリ:API開発による放送一元化について議論が波及する)。

3.Resolution MSC A.707:GMDSS下、認証された衛星プロバイダーによる安全、 緊急、遭難通信料金の特別な取扱い。ITU-R study group及び、WRC関連(議題12)
2019年のIMO-ITU(EG15)にて議論が提起されたA.707 の改正について、今回、安全・緊急・遭難通信に関連する料金の特別な取り扱い)」の改正案をNCSR7は承認した。改正案は船舶から陸上への通信費用免除部分に限られ、シンプルに規定したもの。
他方で、改正案は陸上からの船舶から陸上への通信費用免除を網羅していない。よって、2024年のSOLAS改正を念頭に、今後、船舶から陸上への衛星通信費用免除の議論を継続することになった。特に、何を安全とするか、緊急とするか今後議論を要する。

4.LRIT(議題4)
(1)LRIT費用軽減策
関心のある国が、任意で「船舶からのLRIT通信間隔を変更できる策(LRIT通信費用の軽減及び、船舶設備費用の低減化を目指すことを目的)」を採り入れることを承認した。IMSOは関連する文書を起案し、各国は2020年7月6日から10日にIMOにて開催予定のIMO-ITU(EG16)にて審議する。
(2)年次監査費用
IMSOは2020年のDC監査料金を引き下げる。

5.コスパス・サーサット(議題14)
コスパス・サーサット事務局からのWG報告に留まった。コスパス・サーサット理事会で確認された「MEOSARのIOC延長」について、説明はなかった(同理事会決議どおりの対応であった)。

6.International Safety NET Manual改正(議題9)
複数の認証された衛星プロバイダーの出現に際し、名称をInternational Safety Services Manualへ変更。同マニュアルが規定する「登録された情報提供者」の定義(37)部分に(従来から記載ある)「MSI提供者」(海洋情報部)「又は、SAR関連情報提供者(SAR related information provider)」を追加することになった。改正マニュアルの履行開始は2021年1月となった。

7.沿岸無線員の資格(議題11)
SOLAS4章第5規則に、無線通信規則(RR:監督官庁は沿岸無線局を適切な資格を持つ職員をもって運用確保する義務を有し、それをもって沿岸無線局を運用する義務を有する)を参照する脚注を挿入することになった。

8.LTEのGMDSS活用(議題12)
引き続き、LTEをGMDSS化することについて、議論を継続することになった。

9.NAVDAT(議題12)
引き続き、NAVDATをGMDSS化することについて、議論を継続することになった。フランスと中国は実験を紹介するプレゼンテーションを実施した。

10.BeidouメッセージサービスのGMDSS化(議題14)
IMSOはBeidouメッセージサービスのGMDSS化に向けた承認作業を継続する。Beidou側によると、今後、世界的なメッセージ機能カバレッジを追及するとの由。中国はBeidouの開発状況についてコーヒーブレーク・プレゼンテーションを実施した。

11.その他 庇護を求める船舶への対応ガイドライン
2003年に策定された庇護を求める船舶へのガイドライン(THE GUIDELINES ON PLACE OF REFUGE FOR SHIPS IN NEED OF ASSISTANCE (RESOLUTION A.949 (23)))についてNAV WGで議論があり、今後、英国を議長とするCGで議論の上、NCSR8で最終案を取りまとめることになった。

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国際海事機関の航行安全・無線通信・捜索救助小委員会についての情報 (コメントから) への1件のフィードバック

  1. はくりゅう のコメント:

    トップ画面へのUP有難うございます。2月24日よりコスパス/サーサット専門家会合@カナダが開催されます。会合では、今後、中軌道衛星を活用する次世代406Mz・EPIRBの議題も議論されます。ヨット界に有用な情報があれば、何ら参考まで、改めてご報告いたします。

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